323JP岡田先生のインタビュー

模擬講義教員インタビュー  岡田先生

今行っている、または行おうとしている研究について教えてください。

岡田先生

模擬講義の内容に直結するものになりますが、私は寄付やボランティアといった行動に大変興味を持っています。寄付もボランティアも、別にやらなくても暮らしていける行動ですが、一定程度の人々がやっていますよね。なぜそういった行動を取るのかという問いには、様々な説明や理論がありますが、私は「こういう寄付の機会がありますよ」「こういうボランティアの機会がありますよ」という情報を目にすることで、背中を押されて行動に移るのではないか、と考えています。その背中を押す情報とはどういうものなのか、どういう情報に触れると人々は寄付しようと思うのか、どういう情報がどういう見せ方で提示されているのかという点に関心があり、実際にどのような情報が寄付を促すものとして世の中に存在しているのかを探求しています。また、寄付の動機を人間がどう語るか、というテーマの研究にも着手しています。一般的に、寄付やボランティアは「「良いこと」と理解されることが多いですが、私は別に「「良いこと」である必要はないと考えています。寄付をした方に寄付の理由を尋ねると、「他の人の役に立ちたかったから」「社会に貢献したいから」など、他者のための「良いこと」を前提とした説明が言葉としてよく出てきます。でも、結果として他人のためになったかもしれないけれど、もともとは自分のためにやった、ということもあるかもしれない。多様な動機があってしかるべきだと思うのですが、動機の説明として出てくる言葉は「良いこと」に縛られている現象に興味を持っています。去年あたりから、様々な人の語りを集めています。

研究者に必要なのはどのような能力ですか。

岡田先生

ひとつは、コツコツ地道にやる力です。どんな研究も一朝一夕に成果が出るものではありません。これまでの経験から、毎日少しずつ積み重ねたことこそが、大きな研究の成果に繋がるのだと感じています。もうひとつは、いろいろな人と手を取り合える力です。研究者は孤独に研究をしているというイメージをお持ちの方もおられるかもしれませんが、決してそ んなことはありません。いろいろな研究者とともにチームを組んで研究をすること、学問分野を超えて様々な方と一緒に研究をすることがとても魅力的だと感じています。多様な人とコミュニケーションをとり、共に新たな知を発見していくことを楽しめるメンタリティが重要だと思います。

東北大学ならではの魅力は何でしょうか。

岡田先生

東北大学には様々な学部があり、また私の所属している情報科学研究科にも多様な学問分野の先生がいらっしゃるので、自分とは分野の異なる先生と意見交換ができ、時には一緒に研究もできるというところです。ある研究会で自分の研究の話をしたとき、人間の視線の動きを研究されている心理学の先生がおもしろがってくださり、寄付を促す広告を見たときの目の動きのデータを取ってくださったことがあります。アイトラッキングという方法ですが、私自身にその技術を使う力は全くありません。自分にはない技術や知見を持った先生と出会えるというのが、東北大学の一番の魅力だと思います。また、脳科学の先生の中には、寄付を行うと脳のどの部分が反応しどのような気分になるのか、それが幸せと感じることにつながるかどうか、というような研究を行っている方もおり、そういった異なる観点からのアプローチを試みている先生とお話ができるのも、魅力的です。

仙台のおすすめスポットやお店はありますか。

岡田先生

私は五年前に仙台に来たのですが、仙台でいちばん長く時間を過ごしている場所は青葉山キャンパスだと思うので、青葉山キャンパスをおすすめします。中でも、地下鉄青葉山駅を上がってすぐのところは、芝生がきれいに広がっていて景色がとても良いです。また、高い建物があまりないので、学生寮があるあたりはとても見晴らしが良いと思います。駅の近くには保育園もあって、子どもたちの元気な姿が見られますし、留学生も多く、グローバルな雰囲気も感じられます。また、私はコーヒー好きで、おいしいコーヒー屋さんを見つけるのが好きなのですが、仙台に来て一番おいしいと思ったのは、キャンパスの中にあるお店のコーヒーなんです。青葉山新キャンパス内の「Buddy’sTable」というお店のランチについてくるコーヒーが一番おいしいと感じたので、おすすめです。

大学生に伝えたいことはありますか。

岡田先生

大学時代は、何にでも挑戦できる時期だと思います。人生の中でも、とても貴重ですよね。なので、大学生のうちにいろいろな業界覗きに行くことをおすすめします。インターンシップでも、アルバイトでも、ボランティア活動でも、何でも良いと思います。自分とは関係ないと思う業界や仕事も、大学生の身分だとたくさん覗きに行けますよね。大人になってからは、名刺がくっついてきてしまうので(笑)、いろいろな業界を覗きに行くことが気軽にできなくなります。様々な場所を覗くことは、大学生だからこそできることです。自分と関係ないと思ったことも経験を積んでおくと、きっと人生の糧になると思います。ぜひ様々な業界や仕事を覗いてみてください。

error: